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サバンナ付近の海岸線は複雑に入り組んで淡水と海水がいたるところでまざる湿地帯になっていて、これが緩衝地帯となってハリケーンなどの災害から街を守ってくれているらしい。
そんなこみいった湾へとつづく川のひとつからキャプテン・マイクのドルフィンツアーが出ている。マイクの奥さんらしきガイドさんによると、ジョージア州では船からイルカに餌をやることが法律で禁じられたおかげで、スクリューに巻き込まれたりしてけがをする個体がほとんどなくなったらしい。本来イルカはむやみに船に近寄ったり愛想をふりまきにきたりしないから、イルカの傷害事故は人間の行いが原因だ。ごめん、イルカ。 海に帰ったほ乳類の仲間にあらためて尊敬の気持ちをいだくとともに思い出すのは中学生のころ、イルカやクジラの祖先が勇敢にざぶざぶと海に入っていくのをたださみしそうに見ていた自分の祖先の姿を想像してくやしさと悲しみにうちひしがれたこと。 キャプテン・マイクのドルフィンツアー: http://tybeedolphins.com/ アメリカ南部のドルフィンプロジェクト: http://thedolphinproject.org/ Just Kids by Patti Smith, HarperCollins Publishers, 2010
アメリカのロックスターであり詩人であるパティ・スミス(1946年〜)の自伝。二十歳のころ、トランクひとつ持ってニューヨークに出てきたパティは同い年のロバートに出会う。のちに写真家となるロバート・メイプルソープだ。お金がなくて満足に食事もできないなかで、出会った日から、お互いがアーティストとなることを疑わず、刺激しあいインスピレーションを与えあう二人の生活が、さっぱりと簡潔な文章でつづられている。 二人がすこしずつアートの世界で認められていくにつれて、1970年代のニューヨークの、最も活気に満ちた場面を彩っていた人物たちが登場するのもこの作品の魅力だ。アンディ・ウォーホルの取り巻き連中やジミー・ヘンドリクスにジャニス・ジョプリン。そうした出会いがロバートを写真へ、パティを詩とロックンロールの融合という表現へと後押ししていった。しかしどんなにたくさんの人と出会っても、いつも「二人」があった。「だれも、ぼくたちみたいな目を持ってるやつはいないさ。」新しい恋人ができて別々に暮らすようになっても、ロバートはそう繰り返す。恋や友情を超えた強い関係を、だれかと築くことの幸せと痛みが胸にせまる。 衝撃と感動を引き起こしたアーティストも、just kids、「ただの若者」だった。生きることを創造することとしてとらえる決意を持っていた。 |
Rumi Hara原 瑠美 Archives
March 2015
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