Just Kids by Patti Smith, HarperCollins Publishers, 2010
アメリカのロックスターであり詩人であるパティ・スミス(1946年〜)の自伝。二十歳のころ、トランクひとつ持ってニューヨークに出てきたパティは同い年のロバートに出会う。のちに写真家となるロバート・メイプルソープだ。お金がなくて満足に食事もできないなかで、出会った日から、お互いがアーティストとなることを疑わず、刺激しあいインスピレーションを与えあう二人の生活が、さっぱりと簡潔な文章でつづられている。 二人がすこしずつアートの世界で認められていくにつれて、1970年代のニューヨークの、最も活気に満ちた場面を彩っていた人物たちが登場するのもこの作品の魅力だ。アンディ・ウォーホルの取り巻き連中やジミー・ヘンドリクスにジャニス・ジョプリン。そうした出会いがロバートを写真へ、パティを詩とロックンロールの融合という表現へと後押ししていった。しかしどんなにたくさんの人と出会っても、いつも「二人」があった。「だれも、ぼくたちみたいな目を持ってるやつはいないさ。」新しい恋人ができて別々に暮らすようになっても、ロバートはそう繰り返す。恋や友情を超えた強い関係を、だれかと築くことの幸せと痛みが胸にせまる。 衝撃と感動を引き起こしたアーティストも、just kids、「ただの若者」だった。生きることを創造することとしてとらえる決意を持っていた。
0 Comments
Your comment will be posted after it is approved.
Leave a Reply. |
Rumi Hara原 瑠美 Archives
March 2015
Categories |