渋谷のシネマライズで昨日から上映されているペドロ・アルモドバルの最新作、『私が、生きる肌』。血液、培養された皮膚、注射器、と聞くだけでも頭がくらくらしてくるようなものが登場するが、ほかの作品とおなじく独特の鮮やかな色彩にいろどられた画面の美しさは目をみはるほど。登場人物たちが見せる悪徳のかずかずにはしかめた眉がしばらくもとに戻らなくなるくらい動揺させられるが、それでもなぜかどうしてももう一度みたいと思う。狂気と倒錯のなかにそっと添えられたやさしさとおかしみが、じわりと胸に広がるからだろうか。
舞台となる豪邸を飾る美術品も、この映画のなかで重要な役割をになっている。特に捕われの身であるベラが食い入るように見つめるルイーズ・ブルジョワの作品群の存在感にはあらためて驚かされた。絶望的な状況のなかで力となるものは自分の心しかない。その心に力を与える外的刺激としてのアートの切り取り方には、みるものを覚醒させるものがある。 公式サイトはこちら: http://www.theskinilivein-movie.jp/
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Rumi Hara原 瑠美 Archives
March 2015
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